朝鮮語の濃音を「日本語の促音を単独で発音する」云々と解説する人がいるけれども、おかしいと思う。
「促音」(日本語の用語)は「破裂音・破擦音・摩擦音の長子音」と大まかに定義されるが、破裂音・破擦音の長子音というのは閉鎖時間を長く保つことに他ならず、仮に「濃音 = 促音」だとすると、冒頭に濃音を持つ「찌개」(チゲ)は /t̚t͡ʃiɡɛ/ となり、単に最初の発声が遅れることでしかなくて、これでは平音と辨別できっこない。濃音は、やはり調音器官の緊張という説明が正しいと思う(因みに、これを書き示す IPA はいまだ無い)。
それから、私は激音も位置次第で長子音になり得るのではないかと疑っている。韓国では北朝鮮のことを「북한」(北韓)と呼び、ㄱとㅎが融合して発音上ㅋになるとされるが、これを片仮名で「プッカン」と書く人が多いのである。
放送大学の某滝浦教授は寧ろ「日本語の促音は緊張を伴う」という言い草に戸惑っていた。やはり朝鮮語の濃音と混同する人がいるんだろうか?
日 | 神石は大学ではない。 |
朝 | 진세키는 대학쿄가 안다. |
英 | Jinseki is not a university. |
日 | 神石には大学が無い。 |
朝 | 진세키는 대학쿄가 없다. |
英 | There is no university in Jinseki. |
「日本語と朝鮮語は文法が似ている」とは屡々言われるが、コピュラ文と存在文については助詞と動詞が噛み合っていない。こういう所は注意するしかない。
韓国には珍島犬という犬がいる。ハングル専用表記では「진돗개」と書く。「ㅅ」が名詞と名詞を繋ぐ働きをしているらしい。(日本語の「きりさめ」「はるさめ」の /s/ との関係を指摘する者もいる)
さて、「진돗개」を漢字混用文で書くとするとどうなるか。「㔔」のような「漢韓合字」として「島」の下に「ㅅ」を書くのだろうか。
詳細を募る。
団栗を茹でてゲル状に固めたものを朝鮮語ではトトリムㇰという(細かい発音や綴りを憶えていない)。因みにトトリムㇰは「微ニ入ルソウル」の杉山氏が「嫌いな韓国料理」として挙げていた。
その他、水っぽくて均質な食品をムㇰ(묵)というらしい。全州のビビンバにも緑豆か何かの細長いムㇰが遣われるらしいし、日本でいう練り物のこともオムㇰ(어묵)という(要するに、澱粉でなくてもいいらしい)。
さて、豆腐はムㇰだろうか。蒟蒻は如何。